粒良脇の猿田の池
粒良脇の猿田の池
粒良脇にむかし、古田(ふった)という小さな部落がありました。
その古田の洞にはたくさんの田んぼが並ぶ、棚田が
広がっていました。
その棚田の上の方に、古田の地主で、猿田という
神主の家がありました。猿田では春のお彼岸が来ると、
棚田でお米を作っている大勢の人びとを集め
「今年もお米がたくさん取れますように、お願いします」
とお祈りをし豊作を願うお祭りを、毎年つづけていました。
このお祭りには、お金やお米を紙に包んだ、
「おひねり」というお供え物を大勢の人びとが
手に手にもって集まりました。
そして猿田の小さな池のはたに立つと、大きなザルを池に
なげ入れました。
そして神主のお祈りが終わると、人びとは待っていたように
そのザルの中へ、持って来たおひねりを
いっせいに投げ入れました。
そうすると神主は、ザルの沈んだようすを見て、
その年のお米や野菜など、作物の出来をうらなってくれました。
そして豊作とわかると、みんなでお祝いのお酒を飲んで
池の周りで、夜が明けるまで踊りあかしました。
人びとは、
猿田神五穀豊熟御祈祷
と書かれた大事なお札をもらって帰り、
家の神棚へ大切に飾りました。
こうして人びとは一生けんめい古田の田んぼや
畑を耕して暮らしたということです。